少子高齢化、人口減少が深刻化する日本において、大きな地域課題となっている空き家。
現在、廃れていくまちを空き家の利活用によって活性化し、地域を再編しようとする取り組みが各地でわき起こっています。
大分県の南西部に位置する竹田市もその一つ。
人口は約2万1600人、高齢化率は約45%と、日本でもトップレベルの高齢化が進行。市内の中心部にある城下町では空き家問題が深刻化していました。
そんな竹田市で、空き家再生の事業を展開する移住者の方がいます。
様々なスペシャリストが集結したウルトラテクノジスト集団「チームラボキッズ」に所属する馬渡侑佑(まわたり ゆうすけ)さん。別府市で開催された「チームラボキッズ」のイベントをきっかけに竹田市を訪れ、2015年、奥さんと2人の娘さんと一緒に移住を決意しました。
竹田市はくじゅう連山、阿蘇外輪山、祖母傾連山など九州を代表する雄大な山々に囲まれ、1日数万トンもの湧出量を誇る湧水群や炭酸泉が湧く温泉地を有する自然豊かな地。
その中心部に、歴史が薫る風情豊かな城下町があります。
竹田市に移住を決めた馬渡さんは、「この町で何か事業を作っていけないか」と考えていました。
新しい事業を企てようとした馬渡さんの目に飛び込んできたのは、そこかしこにある空き家だったのです。
事業展開について構想を練っていた際、地域に点在する空き家をリノベーションし、地域一帯をホテルに見立てるというイタリア発祥の取り組み「アルベルゴディフーゾ」を知った馬渡さん。
自分だけでなく地域が儲かる仕組みに感銘を受け、「町の人たちが自分の家を守るための一つの手段になる」と、500m四方のコンパクトな城下町を舞台に、「アルベルゴディフーゾ」の仕組みを取り入れたホテル運営を始めることになったのです。
東京でまちづくりを専門としているメンバーや大分県内で活動する一級建築士などがジョインし、2016年から始まった「竹田まちホテル」の活動。
竹田の町を「住むように楽しむ」というコンセプトを掲げ、空き家の解消、地域活性化に加え、「地元の大家さんが利益を生む」ことを目的に宿泊業をスタートしました。
「JR豊後竹田駅の元駅長室をリノベーションしたフロントでチェックインし、鍵を受け取った後は、城下町内にある客室へと町中を散策しながら向かってもらいます。お風呂は地元民の憩いの場である温泉へ、朝食や夕食は周辺の飲食店を案内しています」。
現在客室はイタリアンレストランの2階を改装した1部屋のみですが、地域内の大家さんにアプローチしながら、今後徐々に増やしていく予定なのだそう。
「宿を増やしていくというのも今後の課題ですが、今もう一つ取り組んでいるのが、電動バイクのシェアリング事業です。地方は駅から観光地までの二次交通が整備されていないことが大きな問題です。宿泊者のため、そして地域のためにもJR豊後竹田駅に作ったフロントに電動バイクのシェアリングスペースを設け、二次交通の課題解消を担っていきたいと思い、現在プロジェクトを立ち上げています」。
「竹田まちホテル」に加え、2019年の1月に馬渡さんは新たな事業にもチャレンジを始めました。「世界が憧れる九州をつくる」をビジョンに掲げる「KYUSHU ISLAND WORK」の事業です。
九州を一つの島と捉え、島の中で旅するように働くことができる社会インフラを整備していく予定です。
「竹田まちホテル」は地域をホテルに見立てる事業。「KYUSHU ISLAND WORK」は九州全体をワーキングスペースに見立てる事業。どちらも地域全体に利益を生む事業です。これらを組み合わせることでさらなる地方の活性化に繋げることができると馬渡さんは考えています。
宿泊に観光に、ビジネス。様々な要素を組み合わせながら、地域の人たちと一つになって暮らす場所を豊かにしていく馬渡さんのプロジェクト。
新しいまちづくりのスタンダードを今、創りはじめています。
情報 | 住所:大分県竹田市大字竹田1958番地 050-7125-9555 |
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