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[熊本] スナック道#01 スナックで2時間過ごせば、その街がもっと好きになるよ

[熊本] スナック道#01 スナックで2時間過ごせば、その街がもっと好きになるよ

2019.07.31

#スナック #ナイトスポット #夜遊び #観光・旅行

底なしの街・九州で、やたらと熱いスナックシーン。 飛び込み営業みたいに勇気を出して、扉を開けてごらんなさいよ。 語るスナック、踊るスナック、愛でるスナック、遊べるスナック…。 “スナック道”を極めるべく勉強中のライターたちの華麗なる夜をレポート!

 

第1杯目
遠くにさざ波が聴こえる、熊本の夜編〜明星パンチ(熊本市中央区下通)〜

 

『明星パンチ』(熊本市下通)の尾崎善美ママと、“キャプテン OZA”こと尾崎幸成マスター。 苗字が同じ2人は、実は夫婦ではなくて…姉弟なのだ! だまされたでしょ〜。

県内外の昭和好き、歌謡曲好きが集まるスナックとしても知られる、通称『パンチ』。 店内にはレコードファン垂涎のお宝がぎっしり。 掘っちゃえ掘っちゃえ!

 

 

 

誰もが気持ちよく語り、歌い、踊る。
スナックという名の小宇宙へ。

『パンチ』に来たら、昭和歌謡を唄わずにはいられないのよね〜。 まずはテレサ・テン、それから、アン・ルイスあたりをいっちゃいます。って、この左の方だれ?

 

尊敬してやまない編集者の方が、
ベストセラーになった著書でこんなことを記していた。

「出張の夜、さて今晩どこでメシを食おうかとなったときに、
おもむろに携帯を取り出して【食べログ】を開くやつ
(その街の編集者)は信用できない」。

 

わかる。

 

上通りの小さな本屋で立ち読みをしていた私は、そのフレーズに向かって
ぶんぶんぶんと、首を振ったものだ。(そのあと買ったよ)。

 

わたしも編集者のはしくれとして、熊本で客人をもてなすとき、
その手のサイトはまずもって使わない。
とはいえ自分が出張に出た場合、さまざまな事情で、時には頼っちゃう夜もある。
1軒めはまあ、不可抗力なこともあるから許してくれ。

 

「もてなし力」が問われるのは2軒めから。

 

最後の1滴を振りしぼるような勢いで、
その夜のラストまでを首尾上々に運んでくれる店。
それが「スナック」だ。

 

スナックの情報は、そういうサイトのたぐいにまったく上がってこない。
たとえば、周辺に飲食店があまりない田舎に行った時などは、
ぼうっと灯る古ぼけた看板にふらふら〜と吸い寄せられたりして、
ちょっと気が大きくなっちゃったりして、
「いちげんさん来ちゃいました〜、いぇい」的な勢いで、
扉をばあんと叩いてしまうこともある。

 

だがそれも、ごく稀。

 

初めてのスナックに入店するかどうかの決め手は、
そこがスナック好きの皆さんのご贔屓の店か否か、だ。

『パンチ』のあるビルは熊本市の繁華街のどまんなか。 酔っ払ってもほら、タクシーたくさん走ってるから安心よ。

 

2軒目への段取りにもたつき、何となく、
あのもじもじっとした空気のなかで

 

「あ、2軒目スナック行きます?
近くにおすすめあるんですよ〜、行くひと手ぇあげて〜?」って声。

 

20 代からスナック道をひた走る私・ライター福永にとっては、
「このページ修正なし!」っていうくらいの神の声に聞こえますわな。

それくらい、スナックの扉って、重いんだな。

あの重〜い扉は、いわば「どこでもドア」。

開けた人にしかわからない、最高にくだらなくて
フリースタイルな時間と、あたらしい世界が広がっている。

 

スナックに2時間もいれば、多分けっこう、
その街のことがわかっちゃったりするんだ。
昼に感じたよりも好きになっちゃったりするんだ。

 

ちなみに、たった数分間で心に沁みる名曲を、
スナックでさらりと歌っちゃう人。
…マジでいい男(いい女)だと思う。

 

カラオケはいわば「名刺」がわり。しっとり系の松田聖子 いっちゃってます。って、この手前の方だれ?

 

 

 

 

牛深生まれの姉弟で毎晩磨き上げられる
極上のエンタメ空間。

『パンチ』のママ、尾崎善美さん。私はよしみちゃん、と呼んでいます。 よしみちゃんの十八番は、黛ジュンの“ブラックルーム”。 知らない人はお父さん・お母さんに聞いてみよう。

 

誰からも頼まれていないが昨夏勝手につくった私の
「セブンルール」によると、「シメはスナック」となっている。
誰からも頼まれていないが多くの方にスナック愛を伝道するなかで、
初心者に必ずおすすめするのが「明星パンチ」だ。

 

県外の方をおもてなしする時に、かなり高い割合でお連れしている。

 

ちなみにわたしも、熊本にいらっしゃる、尊敬する記者の先輩に
連れていってもらったのが最初だった。

 

その方、かなり高い割合でカウンターで寝られるものだから、
いつもそうっと起こさぬように店を出たものだった。
(亡くなったような書き方をしてしまったがそうではない)。

 

熊本市の中心街にある人気美容室を経営するオーナーであり、現役美容師でもある“キャプテン OZA”。きっぷのいい兄貴肌で皆の人気者。カウンターに腰を下ろし、キャプテンがかける和モノにスゥイングするのが至福の時間。

 

 

明星パンチは、“和モノ”と呼ばれる昭和歌謡のレコードと
カラオケが楽しめるスナック。
熊本・天草のさらに先にある牛深(うしぶか)という小さな港町で生まれ育った尾崎姉弟が2人で切り盛りしている。

 

マスターであり弟の尾崎幸成さんは、現役のオーナー美容師(熊本で 20 年以上続く人気店)であり、「キャプテン OZA」の名で活躍する DJ でもある。

 

自身でイベントを企画したり、県外のイベントにもお呼ばれするほど、その道では有名な方だ。

 

一方姉の善美(よしみ)ママは、故郷の牛深で働いていたが、
弟の“キャプテン”にスカウトされる形で熊本市内にやってきた。
店は 2014 年4月にオープン。今春、丸5年を迎えた。

 

 

 

究極の異世代異業種交流の場。
今夜が楽しければ、それでいいの。

盛り上がりピークの図。常連さんもいちげんさんも、皆が巻き込まれて輪になって歌い出す。これが『パンチ』です。

 

「本当は美容師を辞めたあとに、のんびりお店をオープンしようかと思ってたんだけ ど、思ったより早くなったよね(笑)。
店を開けたのは 45 歳のとき。歌謡曲が流れるバーと、女性が一人でも来れるバーにしたかった。1970 年代に流行ったカラオケパブとかキャバレーとか、そういうイメージで。“スナックといえばこういう感じだよね”っていう店をつくりたかった感じかな。うちのねえちゃんはそれまでずっと牛深で働いていたんだけど、皆、何かあったらねえちゃんに相談に来るくらい、地元で人気の人やった(笑)だから、一緒に店やらん?って」。
 

 

 

港町生まれの尾崎姉弟はとにかくハートフル。 善美ママは次の日に必ず「昨日はありがとう」とメールをくれるんです。

 

 

「『明星パンチ』って一度聴いたら忘れられない名前やんね。雑誌の『平凡パンチ』からとっとるとやけど。雑誌って、パラパラめくったら1P ずつカラーが違って面白いやん。うちの『パンチ』も、1日も同じ日がないから、本当にやってて面白くて。そ
んなカラフルな雑誌みたいなお店を、弟とつくりたいなって。お客さんも、カウンターで語りたい人、歌いたい人、ちょっと愚痴を言いたい人、いろんな人がいる。店って変わってしまったらおしまいやんって思ってるから、ここはいつでも変わらずにお客さんを迎えてあげたいなって。いまは『パンチ』で過ごす時間が宝もの。少しでも長くお店にいたいと思ってる。私がいちばん『パンチ』のファンとよね(笑)」。

 

スナックは“ママ”ありき。

ママはいつだって皆のメシヤ(救世主)で、圧倒的な存在で、
あの重い扉の向こうで、
とびきりの愛をもって私たちを迎えてくれる。
スナックの魅力は、ママの魅力ということに尽きる。

だって考えてもみて。
ママでもない人のことをママっていうのなんてスナックくらいでしょ。
一緒に盛り上がったお客さんのことを「お父さん」って呼んだりするでしょ。
いわば扉の向こうで“擬似家族”を展開する感じ。
『パンチ』の面白いところは、姉弟のどちらかがママということではなく、 私から言わせると、どちらもママ(パパ?)。

 

「あ、よぅいしょお〜っ」とお客さんの歌声への絶妙なる合いの手は見ものだし、
善美ママがこぶしの効いた歌声(めちゃうま)で店の温度をさらにぐっと上げたかと思いきや、
歌が終わった瞬間、カウンターの向こうで、
絶妙なタイミングで針を落とすキャプテンがいる。

 

この姉弟がなせるグルーブの合わせ技がたまらないんだな。

 

スナックに通う理由は人それぞれだけど、
最高の異世代異業種交流の場。
皆、変なセミナー行くよりスナック行ったほうがいいよ。
好きなスナックに行くと、本当に皆いい顔になるの、何でだろう。

 

好きなスナックの話はどれだけでもできるよね。酔っ払って、あごが出ちゃってるよね〜。

 

 

明星パンチ

住所

熊本市中央区下通1-5-1蘇州ビル3F

電話番号

090-8411-7863

営業時間

20:00~翌2:00

休日

不定休

料金

1ショット500円〜、飲み放題3,000円〜

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