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[鹿児島] 私を狂わせた店 パパヘミングウエイ

[鹿児島] 私を狂わせた店 パパヘミングウエイ

2019.07.18

#カフェ・喫茶店 #ラーメン #ランチ #想い出 #観光・旅行

「憧れ」と「狂う」は、
同じテーブルの上にのっている。

 

私を狂わせた店、しかもin鹿児島。
県外在住。鹿児島事情にそう詳しくないのに
とんでもない難題を突きつけられた。

「あ、鹿児島だったら書けるよ」と
気軽に請け負ったのは、まぁ、私だ。

文句は言えない。

いや、言うな。

 

好きだよ~、鹿児島!

 

「あ、鹿児島だったら書けるよ」と
気軽に請け負ったのには、理由がある。

 

今から20ン年前。(振り返って恐ろしい時間が経っていた)
私は熊本の某交通センターの、某雑貨店で働いていた。
20代そこそこで、
仕入れやスタッフの勤務管理までまかされて、
いい気になって、
楽しく働いていた記憶がある。

 

何が楽しかったのかって、
雑貨店にあるちまちまとした商品を
カテゴリー毎にわけて、そこにポップを書く仕事。

 

これが、いまの私のルーツ。

 

と、かっこよくも言えるけれど、
実際は、売り文句をいい具合に書けて、
お客さんから褒められることがあっても
売上はなかなか伸びず、
一年ちょっとで、その店は閉じた。

 

無職も悪いもんじゃないと、
貯金食いつぶしている私に

 

「フリーペーパーの編集とか、いいんじゃ?」

 

と、知り合いから勧められるまま
編集プロダクションに転職。

 

ライターって職業もその時はじめて知りました。
くらいの、ものだった。

 

さてさて、
どこに「私を狂わせた店」「鹿児島」が出てくる?
もう少しがまんしてください。

 

待ってろよ、鹿児島!(※その当時は駅前にこの偉人群の銅像は無かったです)

 

 

私が入社したそのプロダクションは、
某企業のお客様向けに季刊誌を発行していた。
その某企業は熊本と鹿児島に支店があり
入社したばかりの、ぺーぺーにぺーがつく私は、
なぜか、鹿児島担当に抜擢された。

 

鹿児島。当時は熊本からJRで3時間くらい。
土地勘のないところで、やったことのない仕事をする。
しかも、センパイが取材に同行してくれたのは最初の一回だけ。

 

二回目の出張からは、
「じゃあ、取材して、写真撮って、記事つくってね」
と、ポーーーンと放り出されてしまうはめに。

 

 

当時、放り出された私を、
まず救ってくれたのは路面電車。「あ、熊本ぽい」とほっとした。

 

はじめてひとりで過ごす、鹿児島出張の夜。
次の日は、某企業の担当者が道案内してくれるものの、
ひとりで取材・撮影。そりゃ、緊張する。
ホテルの部屋にいても、モンモンとするだけだったので
夜の天文館を歩いてみることにした。

 

 

昼の天文館を久しぶりに。 工事中のところ、以前はファッションビルだったよなぁ。

当時はスマホもなく(いや、携帯電話もなかったっけ?)

 

洒落た店を検索する術もなく、
ただひたすら歩きまわって
ふと気になった店にふらっと入った。

 

それが、
「パパヘミングウエイ」という喫茶店だ。

 

そこは、カウンターと、ちょっとばかりのテーブルがある、
小さな細長い店だった。
カウンターに座る勇気なんてなく、
入口付近のテーブルに座ってコーヒーを頼んだ。

 

テーブルの上の、一杯のコーヒー。

 

この業界になんの知識もなければ、
「憧れ」もなかった私が、
なぜか狂ったように
この業界にはまっていく第一歩となった
鹿児島での、一杯のコーヒー。

 

ハンドドリップのコーヒーが
ゆるゆると緊張をほぐしてくれたことを
昨日のことのように覚えている。

 

その後、出張のたび毎回通っていたくせに
いつもはじめてのような顔して
あのテーブル席でいただいていた
あの一杯のコーヒー。

 

もう一度、出会いたくて探してみた。

 

電車を降りて北方面に進む。店は変わっているだろうけど、
なんか雰囲気は変わんないなぁ。

 

 

通りから左に曲がると、あるある~。こむらさきラーメン。

 

熊本にあるこむらさきラーメンと同じと思い込んで食べたな~。
スープも、麺も違うし、大量のキャベツに驚いたな~。

 

いかん、いかん。

ついつい寄り道してしまう。

あ、このバッグ屋さんで、バッグ衝動買いしたなぁ~。

 

アーケードを抜けると、その先は
以前は(相当昔だと思いますが)
メンズストリートと呼ばれていた通り。

 

鹿児島のメンズファッションのメッカで、
この通りにお店を出すのが
いわゆるステータスだったとか。

 

今は、テンパーク通り、ですね。

 

 

確かここらへんだった、と
20数年前の記憶をたぐり寄せながら
探したものの、
その記憶の場所には
おっしゃれーなカフェがあった。

 

しかも、店休日。

 

 

スマホで

「パパへミングウエイ 鹿児島」

と検索してみても、ヒットせず。
最初から検索して行けよ、という話。

 

なんとも中途半端な結末だが、
狂わせた店話は、ここまでの話を
力技でまとめてしまおう、と心に決め、

 

せっかく鹿児島まで来たので、
西郷どんの銅像でもおがんで帰るか、と
観光気分でプラプラと歩きはじめたところに
ふと気になるお店が。

 

それが、
自家焙煎珈琲「Buta penguin」

 

ブ・タ・ペ・ン・ギ・ン… 豚ペンギン!

 

そこは、長いカウンターと、
テーブルがいくつもある、
とても広々とした店だった。
そして、私は何の迷いもなくカウンターに腰を下ろした。

 

20ン歳の私は、
はずかしくって座れなかったカウンターに
40ン歳の私は、
躊躇うことなく座ってしまうあたり
20年の時の残酷さ…、
いや積み重ねてきた経験という名の
時の流れを感じずにはいられない。

 

ハンドドリップで、丁寧に。

ブレンドのマイルド。
ん?も、もしかして…

 

 

「マスター、もしかしてあの通りでお店してました?」
とダメもとで聞いてみると、

 

「あ、つい最近までしてましたよ」と、
軽~い返事。

 

!!!!!!

 

「もしかして、パパヘミングウエイって店ですか?」と
聞いてみると、

 

「ああ、昔、そんな店あったと、聞いてはいるよ」
とのこと。

 

「Buta penguin」、ちょっと前までは
あのテンパーク通り(昔のメンズストリート!)の
かつては「パパへミングウエイ」があった(と私が記憶している)
あの場所にあったという!!

 

すごい、偶然。

 

私が探し求めている「パパヘミングウエイ」では
なかったものの、
偶然、同じ場所で長いこと営業されていたということ。
しかも、コーヒーのおいしい喫茶店。

 

…というわけで、鹿児島の、私を
(これから)狂わせる店に、勝手に決定。

 

Buta penguin(ブタペンギン)
鹿児島市城山町1-6 MBC学園1F
099-222-1199

 

広々とした落ち着いた店内。居心地いいです。
オーナーのお母様が喜界島ご出身ということで
店内には喜界島のパンフレットや観光情報が並んでます。
また、店内では時々、島唄ライブが開催されるそうです。

 

オーナーの古別府さんが喫茶店を開いたのは15年前。
以来、ひとりで店を切り盛りしているため
ほぼ休みなしで突っ走ってきた、とか。
今の場所に店を移されてから、
ぼちぼち店休日でもつくろうか、と考えているそう。

 

店名のブタペンギンは、
ぽっちゃりで、足が短い(ごめんなさい!)体型を
昔の奥さんから「ブタペンギンみたい」と
言われたことから。なんて、素晴らしいネーミングセンス!!

 

コーヒーだけでなく、食事もおいしそう。
次はランチだな。

 

何か意図して出かけた行き先で、
思わぬ出会いがあったりする。
日常という重石の下にある
自分の思いに気づけたりする。

 

西郷どん、ありがとう!

 

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