独身貴族だった頃に一度だけ食べたことがあるんですよ。
あれは7年ほど前。舞台は繁華街 天文館のど真ん中、平日真っ昼間から長蛇の列ができるスパゲッティ専門店ダローロ…
給料日あとのホクホクなお財布を抱えて、寒空のもと行列に並ぶこと1時間弱。
やっっと席に通されたウキウキ感の中、運がいいのか悪いのか、パッと開いたメニュー表から私の目に飛び込んできたとあるページ。
特別メニュー
『究極のカルボナーラ』2300円
おおぅ…とくに具沢山でもないごくシンプルなカルボナーラが、に、にせんさんびゃくえん…?
ケタ間違ってんのか? いや、それはそれでおかしい値段になっちゃうぞ…
ふと目線を落とすと、ページ下部にこのような表記が。
「チーズ、卵、豚肉。これだけの食材で仕上げるシンプルなパスタだから、とにかく素材にこだわった特別なカルボナーラをご紹介致します。」
どうやら値段のケタは間違っていないらしい。どんだけこだわった素材使っちゃったんだろうか。
気になりつつも、他のページをめくってみると一般的な価格のメニューもちゃんとたくさん載っていて、ほっと胸をなで下ろす。
ペペロンチーノ、ボロネーゼ、ペスカトーレ…どれも美味しそうだなぁ〜!どれにしようかな〜!
でもね、なんか魔がさしちゃったというか、心で何者かが囁いたんですよ。
「財布の中には諭吉がいっぱい入ってるよ。飲み会一回分より安いよー。寒い中1時間も並んだご褒美にさぁ〜」
ですよね!すみません、究極のカルボナーラ1つ!大盛りで!
というわけで、実家住まい独身、稼いだお金は全額自分のために使えるという、3人子持ち母となった今では羨ましすぎる超贅沢な境遇だった私は、奮発して食べちゃったわけです。2300円のカルボナーラを。
そして、忘れられなくなったわけです。あの究極のシンプルイズベストな味わいを…
時は経って、令和1年。
我が家は鹿児島が世界に誇る温泉地 霧島で生活しております。
3人の子どもたちを連れて、新鮮で美味しく、そしてお得な野菜を求めて立ち寄った地元の物産館で、私は運命の再会を果たしました。
物産館の隅っこにある冷蔵品コーナー。並べてある漬物や豆腐を何気なく見ていたその時。
『霧島燻製ファクトリー 無添加ベーコン』
…あ!
あのカルボナーラに使われてたベーコンじゃない??!
そう!7年前、脳裏に焼き付いた2300円の究極のカルボナーラ。
使用食材の紹介で書かれていたのは『霧島燻製ファクトリー』のベーコン!!
人間の記憶って不思議ですね。
梅干しのように、はたまたCMを見ると食べたくなるケンタッキーフライドチキンのように、7年目に食べたあの味が口の中で再現されるんですよね。
ってことは、お高いんじゃ…?
恐る恐る値段を確認する私。そんな私の目を盗んで売り物のシャインマスカットをつまみ食いする子どもたち。
あれ?980円?
結構大きなブロックだし、スーパーで売ってる普通のベーコンより少し高いくらい?
噂ではブロックで何千円もするって聞いたことあったけど…
よく見るとパッケージにはバラエティーパックの文字が。
よくよく調べてみると、ダローロの究極のカルボナーラに使われていたのは霧島燻製ファクトリー製の無添加黒豚ベーコン。
で、物産館に売っていたこちらは、同じく霧島燻製ファクトリー製の無添加白豚ベーコン。
なるほど。鹿児島が誇るブランド豚かそうでないかの違いか。
でも、作ってる人は同じ人。完全無添加なのも同じ。価格は何千円もの差。
うん。全然オッケー!!!
冷蔵品コーナーで小さくガッツポーズする私。そんな私の目を盗んで売り物のシャインマスカットを食べ続ける子どもたち。
霧島燻製ファクトリー無添加白豚ベーコンバラエティパック980円をがっちり手に持ってレジへ向かう私。そんな私の肩を鬼の形相でがっちり掴んでくる店員さん。
感動の再会の陰で行われていた子どもたちの暴挙を知って愕然とする私。両方のほっぺたにシャインマスカットを頬張る満足げな子どもたち。
霧島燻製ファクトリー無添加白豚ベーコンバラエティパック980円と半分くらい粒がなくなったシャインマスカットをお会計する羽目になっ(以下省略)
いろいろありまして、帰りの車で子どもたちは怯えた目で私を見ていますが、私の心は7年ぶりに再会を果たしたベーコンのワクワクで満たされていました。
ちょうど良いことに、家の冷蔵庫にはパスタも卵も、粉チーズもあります。
生クリームはないけど、いつも我が家でカルボナーラを作る時は使わないからノープロブレム。
さあ、早く帰って、あの味を思い出しながらカルボナーラつくろう♪♪
鍋にたくさんのお湯を沸かして、ひとつかみ塩を入れてからパスタを茹でる。
ボウルに卵を割って、粉チーズをたっぷり。
茹で上がったパスタのお湯をよく切ったら、間髪入れずにボウルへ!
ムラがないようによく混ぜ合わせたらお皿に盛って、黒胡椒を振ったらできあがり。
もちろん、7年前のダローロで出会ったあの味とは程遠いけど、子どもたちと一緒にお家でちょこっと贅沢ランチだって、美味しいじゃないか。
なんてったって使っているベーコンは正真正銘の『霧島燻製ファクトリー』製、豚肉と自然塩だけで作った無添加ベーコン。
ちゃんと豚肉そのものの味を感じるベーコンなんて、スーパーじゃまず買えない。
子どもたちが「お肉美味しいね!」って言いながらぺろっと一人前完食。
そう、ベーコンっていうよりも、お肉って呼びたくなるベーコンだよね。
霧島燻製ファクトリーを切り盛りされている久保さんは、もともと洋服作家さんらしい。
霧島の山奥の森の中で、一つ一つ丁寧に塩漬けして、燻製もして、とても丁寧に作られてるんだって。
お会いしたことは一度もないけど、なんとなくその風景が頭に浮かんできそうな、そんな丁寧さを感じるベーコン。
愛情こもってるってこういうこと言うんだろうなぁ。
またあの物産館行こう♪ 次はちょっと良い卵も買っちゃおうかな♪
そんなある日の贅沢ランチ。霧島に来たら、きっとあなたもあのベーコンに出会えますよ。
(追伸:シャインマスカットはデザートに美味しくいただきました♪)
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