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養殖クルマエビの女王・深川さんに 「未来をつくる天草の仕事」に ついてお聴きしました!/オンラインスナック 八丁馬場

養殖クルマエビの女王・深川さんに 「未来をつくる天草の仕事」に ついてお聴きしました!/オンラインスナック 八丁馬場

2020.08.09

# #雑談

コロナ禍でなかなか外にロケや取材に行くことが
ままならない中で、編集部と
いま話を聴きたい方がzoomでつながり
お酒を飲みながらのんびり取材したり
だらだらとお話ししたり…そんな様子を
Facebookで生配信する「場」。
ひっそりとオープンする“妄想スナック”。
それが、新企画「オンラインスナック 八丁馬場」です。

(ちなみに「八丁馬場」とは、
タッキューの事務局がある電停の名前なんです!)

7月ご来店のお客さま

深川 沙央里さん
((株)クリエーションWEB PLANNING代表)

天草市生まれ。水産会社の実家(元網元)で鮮魚仲買や商品開発を担当。2013年にクルマエビを中心とする養殖・加工・販売のほか、生産者・事業者仲間が安心して生産活動をつづけるためのECサイトなどを運営する「クリエーションWEB PLANNING」を立ち上げた。2男3女の6人家族。

 

女性が安心して水産業を続けていけるように

天草市からようこそ、深川さん、こんばんは〜! 
今日はご来店いただきありがとうございます!

 

深川さん


ワ〜イ、よろしくお願いします! 乾杯!

 

秘書・佐々木(深川さんと同じ牛深出身)からすこしご紹介をしますと、
うちの父は牛深の漁師でしたが、深川さんのご実家は「網元」だったんですよね。

※網元とは、漁船を所有し漁師さんを雇用する漁業経営者のこと。

深川さん


そうなんです。私が18歳の頃までは網元で、

いまは養殖と加工をする水産会社(深川水産)になっています。

 

真鯛と、しまあじと、ぶりをやってますね。

 

小学生の頃は弟と船で漁場まで行って、ふぐの稚魚の餌やりをするのが日課でした(笑)。

 

 

へえええええ〜! やはり、小さい頃から水産の仕事を継ぎたかったんですか?

深川さん


もちろん憧れではあったんですけど、牛深のしきたりが結構あって、

女性は船に乗れなかったりするんですよね。

 

 

え〜! そうなんですか!(超ビックリ…)

深川さん


いまも水産に関わっていますけど、いわゆる男性が関わる水産業に携わろうとは思っていないんです。パワーはもちろん、考え方や視点が違うので。

やりたいのは、女性でも安全に生産活動ができる仕組みづくりです。

 

 

 

なるほど。そういう思いから、独自のやり方で、海と関わる仕事にチャレンジされてるんですね。たとえば、クルマエビの養殖や加工・販売など。

深川さん


そうです、そうです! もともとエビの養殖ってすごく過酷な仕事で、

1日4時間くらい海に潜らないといけないんですよ。身体への負担がとても大きくて。

水門の開け閉めとかパワーがいる仕事が多いから、どうしても女性だときついんですね。

ウチは子供が5人いて、3人が女の子なんですけど、女性でもできる養殖の仕組みを

考えようと思ったんです。

 

すごい! それって考えてできるものなんですか?(笑)

深川さん


できたんですよ(笑)。実は10年くらい前から図面を書いたりして、

「こんなことがやれたらいいな」という未来図をあたためていたんです。

まわりの方にも、その夢の話はチラホラとしていました。

そしていま熊本の企業さんと共同という形で、ここ天草でクルマエビの

あたらしい養殖の仕組みを開発中なんです、データをとったりしながら。

 

カッコいい! 女性でもできる養殖、女性でも参加できる水産業は
深川さんの大きなテーマでもあるんですね。

深川さん


そうなんです。以前はいけすから絶対離れられなかったんですが、

養殖管理のIT活用をすすめているので、水温だったり、酸素量もスマホで見られるんですよ。

他にも生産性向上と環境負荷の低減への取り組みなんかを実験中で。

ドラえもんを観て育った私でも(笑)、いますごい時代にいるなって感じてます。

 

天草の海の恵みをサイトで応援する

 

 

わたしが深川さんの取り組みですごいなと思っているのは、ご自分のところだけじゃなくて
ほかの生産者さんや事業者の方を応援するECサイト(AMAKUSA産直市場便
を立ち上げて、運営してらっしゃるところなんですね。

深川さん


うんうん。

 

柑橘だったり、野菜だったり、“天草のいいもの”を揃えてらっしゃるサイトで、
「天草にこんな会社があるんだ!」って驚きました(笑)。

深川さん


もともとクルマエビの養殖業者に嫁いだんだけど、当時クルマエビ養殖の実態が

なかなか厳しいものがあって、そこを何とかできないかなと思って始めたのが

クルマエビの個人向け販売だったんです。

 

厳しい、というと?

深川さん


生産者さんが値段を決められない現状があったんですよね。
何とかして違う売り方を考えないとと思って、自分で販売チラシをつくって、
天草の一軒一軒をポスティングして回りました。

 

(衝撃!笑)

深川さん


週に2回くらい熊本市まできて、マンションにポスティングしたり。

 

“リ●ングレディ”じゃないすか!

深川さん


そうそう(笑)。そんな個人向け販売事業の立ち上げから、いまの通販事業へ

つながった感じですね。それだったら事業者さんも魚を安心して育てて売れる。

それからだんだん同業者さんからもエビを仕入れるようになって、

5社くらいから販売をさせてもらえるようになって、販売会社を独立したんですよね。

それが「クリエーションウェブプランニング」です。

 

いや〜、その“巻き込み力”すごいです!

深川さん


天草の活きクルマエビって、気温の問題で、だいたい
11月〜3月くらいまでしか販売ができないんですよ。
それ以外の期間でほかのものも販売したいと思いはじめて、
牛深の仲間や友人たちがつくっている産物を仕入れさせてもらってます。

 

すごくいいですね…。

深川さん


でも、わたしはいまだに生産をやりたいんですよね。

 

えっ、そうなんですね!

深川さん


そうそう(笑)。会社も、もともと長くはやらないつもり

だったんだけど、いろんな人との関わりが増えすぎちゃって、

辞められないよなあって感じ(笑)。

 

いろんな方との関わりがあったからこそ生まれた商品も多いですよね。それと
深川さんは「農林水産大臣賞」を受賞されていると聞いたのですが…

深川さん


そうなんです。水産系で女性での受賞は初めてらしいんですが、

クルマエビの販路拡大についての取り組み・実績を評価していただきました。

 

なんかとにかく名前がすごい。

深川さん


仕事をしてると色々あせっちゃうことも多いんですが、「自分の世代で何かを成し遂げよう」というよりも、娘たちの世代が「水産を継ぎたい」と思ってもらえるような世界がつくれたら
いいのかなと思っています。

 

コロナ禍で生まれたヒット商品“天草ブリ弁当”

そんなバイタリティあふれる深川さんの原動力って何ですか?

深川さん


う〜ん、もちろん天草が好きっていうこともあるけれど、

一番は、生まれ育った天草への、感謝の気持ちが大きいですよね。

未来の子どもたちがもっと生きやすい、暮らしやすい天草になればいいなといつも思ってるんです。

 

(いい話…)

深川さん


いろいろな障害や面倒くさいことは、わたしの代で
突破しとこうって気持ちですかね(笑)。

 

ではここで、最近深川さんが手がけられた“天草ブリのお弁当”を
いただきます! こちらは「AMAKUSA産直便」で販売中なんですよね。

深川さん


ありがとうございますー!

 

め、めちゃめちゃおいしい〜!!! 脂がのっててふっくらしてる!
焼酎「天草」との相性も抜群ですね!
コロナ禍で生まれた人気No.1商品だとお聞きしました。

深川さん


2月くらいからコロナの影響で注文が軒並みキャンセルになって、
行き場を失った天草ブリをどうにかできないかなと思って。
実家の弟から相談があったんです。
キャンセルが続くホテル(アマクササンタカミングホテル)のシェフに
協力をしてもらって、ブリ南蛮、ブリ大根など5種類開発したんですよ!

 

なるほど!

深川さん


みんなとにかく困っていて、アイデアを出し合って
協力しあったら解決できた感じですね。
ブリの食べ方って刺身か照り焼きくらいしか知らなかったので、
シェフ、すごい〜って感動しました(笑)。
甘くてご飯がすすむ“田舎の味”ですよね。
市内の子ども食堂に約260食提供も行いました。

 

すばらしいなあ…。日頃のアイデア力や人を巻き込む力が、
こういうピンチの時に発揮されたんですね。
ちなみに今後の展望やいまの想いなどを聞かせてもらいたいです!

深川さん


環境負荷の軽減など、養殖業を通じて社会課題の解決にチャレンジしたいですね。
あとは餌の問題。値段が高騰していっているんですよ。
何よりも生産者が安心して生産活動を続けられるために、
問題解決にトライしていければと思っています。
そういうチャレンジングな仕事が一番楽しいし、わくわくしますね。

 

深川さん、今日はありがとうございました!

 

 

 

★閉店後のふりかえり

 

5人の子どもを育てるママでありながら、

地域の人と連携し、“子どもたちに残したい天草”のために

ひと肌もふた肌も脱ぐ、カッコいい女性リーダー!

地域の人がもっと豊かになる未来を願う深川さんを

応援し続けます!

 

 

●「Online snack 八丁馬場」のゆかいな人々

タッキュー編集長:福永あずさ(ママ)

 

–いつかスナックのママになることを夢見る編集者。
もういい年なのに、いまだに朝帰りがやめられなくて、夫に怒られてばかり。
長年続けてきたローカルの取材をオンラインでやっちゃおうと
一念発起して店をオープンさせました。

 

秘書佐々木:(アルバイト)

 

–2019年に独立したばかりのフリーランス営業女子。
今年の3月まで、ママに連れられて熊本のいい店を巡ってきて
段々舌が肥えてきている。今回は強引に誘われて「アシスタント」として店に参加。ローカルおじさんの扱いがうまい。

 

Qさん:(ボーイ)

—ご存知タッキューのマスコット的存在。
熊本イチ動けるフリーのデザイナー。いつか一流のクリエイティブディレクターになることを夢見ながら、毎晩グラス拭きに励む。

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