だいたい、「アベックラーメン」っていう名前自体なんなんだ。
熊本生まれ熊本育ち、人生27年間のうち24年は熊本に住んでいる私は、「アベックラーメン」というものがあまりにも身近すぎた。身近すぎるがゆえに、その名前の意味を深く考える機会がなかった。
「アベック」という言葉の真の意味を知るより先に「アベックラーメン」を知っていたのだ。その意味を知ったあと、何の気なしにこのパッケージをて「なんで?????」となったのは15才の時だった。
ここで「アベック」という言葉の意味を改めて確認してみようと思う。
▼アベック
・avec – 「と一緒に」を意味するフランス語の前置詞。英語の “with” に相当。
(参照:wikipedia)
おいおいなんてこった。
これだとアベックラーメンは本来「ラーメンと共に…」という意味になってしまう。
意味深である。このラーメンと共にどんな未来を描けるのだろうか。
しかし、以下のような記載もあった。
・一組の男女を意味する言葉。かつて日本で頻繁に用いられた和製フランス語。
(参照:wikipedia)
つまりは「カップル」ということ。
海外からきた言葉を日本人がちょっと優雅にアレンジしたというわけだ。日本人ってすぐそういうことするよね。
そして、アベックラーメンを作っている「五木食品株式会社」の商品情報のページには、以下のように紹介文がある。
▼アベックラーメン
2人前であることから、発売当時の流行語「アベック」を商品名にしました。
(参照:五木食品株式会社ホームページ)
なるほど、もしこのラーメンが2020年に発売される世界線があるとしたら、「リア充ラーメン」だったのだろうか。そんなラーメンは爆発してしまえばいいと思う人が多かっただろうから、「アベックラーメン」で最適に違いない。
そしてもう一つ気になる点がある。
「1袋が2人前である」ということだ。
私が最後にアベックラーメンを食べたのは確か16才のときだ。
その時まで、記憶が正しければ、1袋を1人で食べていた。
16才の私は、1食でマクドナルドのハンバーガーを6つ食べるほどの大食いだった。今はぶっちゃけそんなに食べきれないだろう。
だが、私はアベックラーメンを1人で食べたいと強く思う。
なぜならば、アベックラーメンはうまいからだ。
おいしいものは他人とわけあって食べたほうが幸せだという漫画の主人公のような考えは、私は持っていない。そんな考えを持てるのは生まれながらにして陽キャのやつくらいだ。
うまいものほど独り占めしたい。7つ下のいとこが食卓の唐揚げを決まった数以上食べていてぶちギレたことを昨日のことのように思い出す。
つまり私は、アベックラーメンを1人で食べたいのだ。
この考えは私だけなのだろうか。
不安になったのでTwitter上でアンケートをとってみた。
日本が飢餓に襲われていることが判明した。
ちなみに先ほどから調理シーンをお届けしているが、箸の柄がそろっていないことは責めないで欲しい。
この箸たちは相方を失った者同士のアベックなのだ。
アベックも多様性の時代だ。
さて、そろそろ1袋分のアベックラーメンができそうだ。
五木食品株式会社さんはきっと2人で食べてほしいのだろうが、そんなわけにはいかない。
だってうまいものは独り占めしたいから。
生みの親の願いを捻じ曲げることは罪なのか?
いや、食べたい分だけ食べることの方が至高だろう。
私は今日もアベックラーメンを1人で食べる。
思ったより多い。
嘘だろ。こんなに多かったっけ?
あれ?ほんとに1人で1袋食べてたっけ?夢だったかな?
とはいえ、一度1人で食べると言ったのだ。
ここで「やっぱり2人で分ける」などかっこ悪すぎる。
私はこれを1人で食べる。
こぼしそうなので、2つの器に分けて食べることにした。
これもアベック的な食べ方なのではないだろうか。
まず1杯目。
うま。
久しぶりに食べたがめちゃめちゃうまい。
こんなにおいしかったっけ。
ちなみに私はうまいものを食べると眉間にシワがよる癖がある。
よく誤解を生むので治す方法を知っている人がいたらぜひ教えてほしい。
つづいて2杯目。
やっぱこれまじでうまいわ。
あ。
はらいっぱいだわ。
「ご飯は誰かと一緒のほうがおいしい。」
そんなことは何度も聞いたことがある。
ドラマでもアニメでも小説でも漫画でも、なんならSNSの広告にも言われてきた。
でも私には「今から2人でアベックラーメン食べようよ♡」と言えるような人間はいないのだ。
27才、約10年ぶりにアベックラーメンを食べた今日、アベックラーメンは1袋を2人で食べる方がいいとことがわかった。
大切なことに気づけた今日この日を、アベックラーメン記念日と決めようと思う。たぶん1年後には覚えていないだろう。
完食はしたが、水を飲むこともためらうほどはちゃめちゃにはらいっぱいになってしまった。
もし良かったら、五木食品株式会社さんには、ぼっちラーメンもぜひ開発していただきたい。
私は買います。
今日もごちそうさまでした。
P.S.
ちなみに私が五木村出身・五木村在住だから今回この記事を執筆したわけではありません。
証拠として、五木食品株式会社は熊本市内に本社があります。
五木村へのサテライトオフィス、工場進出、本社移転もお待ちしております。
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